平成30年の住宅・土地統計調査(総務省)を見ると、
空家率が高い都道府県で和歌山県は第2位です。
しかしながら、二次的住宅(「別荘」や「たまに宿泊する住宅」)を除くと
日本で一番になってしまいます。
では、なぜ和歌山県では空家が多くなってしまうのでしょう。
一番大きな要因は、高校を卒業後に県外の大学へ進学してしまう率が
全国で断トツの1位ということです。
和歌山県の大学進学率は54%程度ですが、
そのうちなんと90%近くが県外の大学へ進学して行きます。
つまり高校卒業生の半数近くが和歌山から出て行ってしまうということです。
高校卒業から県外の大学へ進学し、
ほとんどが県外で就職し生活の基盤を作り定着してしまいます。
地元和歌山に残っているのはご両親や祖父母のみという家が多くなります。
当然高齢化率も高く、
国勢調査によると65歳以上の人口が30.89%と全国6位になっています。
簡単な図式で説明すると、
子どもたちは高校を卒業すると県外へ出て行き、
県外で就職し、そこで家庭基盤を気づき、
残されたご両親は高齢化していき老人ホーム等への入所や
お亡くなりになることにより
実家には誰も居住しなくなり空家になってしまうということです。
空家になるのはご両親が居住しなくなるタイミングということですが、
当分の間は県外から年に数回帰省し親族があつまるなど
「たまに宿泊する住宅」として利用されるでしょうが、
年数が経つほど利用されることがなくなり放置される状態になってしまいます。
私どもが相談を受けるものとしては
①ご両親が老人ホーム等の施設に入居して誰も住まなくなったというもの、
②ご両親が亡くなって相続し、和歌山へ帰ることもないというもの、
③ご両親がなくなって相続して少しの期間帰省時に利用していたが
長い間帰省もしなくなったという概ね3つのタイミングに分類されます。
もちろん売却するのに一番いいのは、
①のタイミングというより①になる前です。
この時点では、お家自体も良い状態ですから、価格も高く売却できます。
あるいは、少しのリフォームで賃貸することも可能です。
①になる前と書いたのは、
老人ホーム等へ入所するような状態になってしまうと
売却することも賃貸することも難しくなってしまう可能性が高いからです。
さらには売却したお金や賃貸収入でご両親の介護費用を贖うこともできます。
つづいて②のタイミングですが、
ご両親が亡くなって売却するとなると、
相続分割協議を経て相続登記や遺品整理など面倒なことが押し寄せてきます。
不動産は分割して処分することができませんから、
売却してお金で分配するというケースがほとんどになります。
最後に③のタイミングが我々不動産屋が依頼を受ける一番多いケースになります。
一言で言えばこのタイミングでは手遅れと言えます。
住まなくなってから長い期間が経過し、建物も老朽化が進み、
倒壊の危険性すらあるものもあります。
近所から草刈りをしてくれとか台風で瓦が飛んできたとか
管理のコストも相当なものです。
①や②の段階では建物付きで売却できるケースも多いですが、
こうなるともう建物を解体する前提でしか売却できないケースがほとんどです。
解体する費用はもちろん所有者が負担する形になります。
次回は、①のタイミングで具体的にどういう対策を講じるべきかをお話居たいと思います。