空家は売却する方が得?~その1~
今回は、空家を相続して放置し続けた場合のリスクについて考えたいと思います。
1947年(昭和22年)~1949(昭和24年)、いわゆる第一次ベビーブームの3年間に
約810万人が生まれました。1年間の平均で約270万人です。
令和3年の出生者数約81万人と比較すると3倍以上と非常に大きな数です。
その時生まれた人たちは今73~75歳になっています。
この人たちが高度経済成長の日本を支え、それぞれに住宅を建築し現在に至っています。
そういった方々もこれから10年前後の間に平均寿命に達していきます。
そこで考えなければならないのはその人達が住んでいる住宅の多くが空家になっていくということです。
特に地方では、高校を出ると進学や就職で故郷を離れる人が多いという現実があります。
故郷を離れて暮らしている人たちが今後10年前後の間に直面するのが、
親が住んでいた家をどうするかという問題です。
自身も定年退職し晩年は故郷で暮らすという方は別として、
将来に亘って故郷を離れて暮らすという人には、親が亡くなった時、
遠く離れた実家を相続しなければならないという問題が発生します。
そういう問題に直面する人が何百万人も発生するということです。
相続した家の管理責任は、もちろん相続して所有者となった人に帰属しますので、
空家を倒壊等著しく保安上危険な状態や、衛生面で有害な状態にならないよう
保全していかなければなりません。
維持管理や修繕に係る管理コスト、帰省する交通費は決して小さいとは言えません。
さらに言えば毎年土地及び建物に固定資産税や都市計画税が課され、
その税金は所有者が納付しなければなりません。
それらを合わせると少なくとも年間数十万円になります。
もし、空家の管理を怠って、倒壊等著しく保安上危険な状態や、
衛生面で有害な状態に陥ったまま放置した場合、
行政から改善を求める助言・指導が所有者に対して行われます。
この助言・指導を受けても改善されない場合は、
住宅用地特例の減税が適用されなくなり、土地の固定資産税の課税評価額が6倍になり、
今支払っている土地に対する固定資産税額が6倍、都市計画税が3倍になります。
それでは、どういう対処をするのが最も良いのでしょう。
次回で様々なケースを想定した対処方法を考えていきたいと思います。